ミュージカルの映画化は難しい? レ・ミゼラブル2013/02/15

今日は六本木ヒルズのTOHOシネマズで、大ヒット中の映画、「レ・ミゼラブル」を観てきました。
天気はあいにく小雨まじりでしたが、六本木ヒルズのローズガーデンは庭師さんがお手入れの真っ最中。バラも剪定していました。
六本木ヒルズ ローズガーデン

さて「レ・ミゼラブル」。世界各国でロングラン上演されてきたミュージカルの映画化で、帝国劇場でも長年上演されてきたミュージカルですが、私は舞台を観たことはありません。
ヴィクトル・ユーゴーの原作は有名で、ストーリーはよく知っていますが、「オペラ座の怪人」に比べると、私には馴染みのない曲が多いミュージカルです。

レ・ミゼラブル

映画はラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ自身が歌うというちょっと驚きのキャスティングです。「ウェストサイド・ストーリー」のナタリー・ウッド、「マイ・フェア・レディ」のオードリー・ヘップバーンは吹き替えですから。実際アン・ハサウェイの歌がうまいのには驚きました。ラッセル・クロウも情感たっぷりに歌い上げています。
セリフのほとんどを歌で、という試みもミュージカルとしては珍しいと思いました。「ちょっとしたセリフまで歌うのは変な感じがする」という映画レビューが多かったのですが、オペラではレチタティーヴォは当たり前なので、私としては全く違和感がありません。モーツァルトの「魔笛」のようなジングシュピールの方が少数派ですから。

私がこのミュージカル映画で最も違和感を感じたのは、単純ながら、「政府軍と銃を交えて対峙する、死を覚悟する緊迫したシーンで、悠長に歌ってられるなあ。」ということです。「そんなことをする前に相手に銃の照準を定めろよ。」と思ってしまいました。
ミュージカルやオペラに慣れ親しんでいる私でも、こう思ってしまうのは、この映画の時代背景の描き方がリアルすぎ、スケールも大きいからでしょう。(セットの背景はマットペイントを多用していますね。)
多分「レ・ミゼラブル」の舞台を単に撮影して映画にしたならば、こうは思わなかったはずです。狭い舞台の中では、戦いのシーンも象徴的に表現され、リアルすぎないと思います。この題材をミュージカルにするには、映画よりも舞台の方が適しているように思いました。
またこのミュージカルではテナルディエ夫妻の描き方がどうもコミカルすぎて、緊迫感が削がれて、興ざめです。
馴染みのない曲が多いミュージカルと書きましたが、「夢やぶれて」、「民衆の歌」、「ワン・デイ・モア」、「オン・マイ・オウン」、「彼を帰して」は強く印象に残る名曲でした。特に「オン・マイ・オウン」を歌ったエポニーヌ役のサマンサ・バークスの素晴らしい歌声には引き付けられました。

感動はしたけれど、どうもひっかかる。そんな印象を持ったミュージカル映画でした。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://tokyo-oasis.asablo.jp/blog/2013/02/27/6732923/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。