映画TAR ター ― 2023/05/23
ベルリンフィル初の女性マエストロなんていう宣伝文句でしたが、映画ではどう見ても、ドレスデンのホールで、本拠地のコンサートホールがベルリン・フィルハーモニーではない。ロケは拒否されたのでしょうか?肝心の演奏シーンも少なめでした。
最初に長々とエンドクレジットを出されて、「映画を見るぞ」という緊張感がなくなりました。しかもエンドクレジットの前に飛行機内のターのシーンがあったのに、本編のシーンと完全に分断されていました。
演出も細かいところが突っ込み所が多く、納得がいきません。
冷蔵庫の音が気になって目覚めるのは良いとしても、メトロノームの音は、誰かが動作させないとおかしいし、起きている時に動作音が聞こえていたはずです。
隣人の老婆が認知症の老人の手助けを求めてきた時、何で老婆がターに命令口調で言うの?
自尊心の高いターなら、救急車を呼びなさいと言って、ターは拒絶すれば良いのに。
お気に入りの若手女性チェロ奏者の忘れ物を届けるのに、まともな住居でもない、不気味な廃屋の奥深くまで行きますか?
ターが正装して、代役指揮者のコンサートに乱入して、暴行するのは、事前にターに代役をたてる事を通告されていたはずだから、どう考えても不自然です。
アジアのシーンもアジア蔑視感が感じられて不快でした。しかも最後にモンスターハンターオーケストラに客演指揮するというのは、ベルリンフィルを追われた指揮者とは言え、受諾する仕事ですかね?
レナード・バーンスタイン、グスターボ・ドゥダメル、ジャクリーヌ・デュ・プレ、ヴィスコンティのベニスに死すなど、クラシックファンなら誰でも知っている人物や映画音楽をストーリー、エピソードに散りばめても、なんか白々しい。
この映画の監督と脚本家は、「どうだ、斬新な演出とストーリーだろ。」と自己満足しているようにも感じられました。
007ユア・アイズ・オンリー、インディアナ・ジョーンズに出演したジュリアン・グローヴァーが、引退したマエストロの役で出演していて、懐かしく感じられましたが、ケイト・ブランシェットの怪演だけが記憶に残る映画という印象です。
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