パナソニック汐留美術館 中川衛展 ― 2023/08/04
彫金の人間国宝保持者である、金工作家、中川衛氏の展覧会に行ってきました。金属の象嵌細工の工芸品は馴染みがなく、どんな作品に出会えるのか楽しみにしていました。
パナソニック汐留美術館の場合、会場の入口には大型ディスプレイが設置されて、展覧会に関連するビデオがいつも上映されているのですが、今回の展覧会では、40分の長尺のビデオで、中川衛氏のデザイナーとしての創作過程、複数の金属を使った象嵌細工の工程が詳しく紹介されていて、とても参考になりました。
このビデオを見るのと見ないとでは、作品に対する理解度が全く違ってくると思います。
会場の一部の作品は写真撮影OKでしたので、素晴らしい作品群を写真に全て納めておきました。
スペシャル弦楽コンサート ― 2023/07/01
出光美術館 琳派のやきもの展 ― 2023/06/28
久しぶりに丸の内の出光美術館に行ってきました。今まで気がつかなかったのですが、出光美術館1階のエレベーターの扉は白蝶貝が全面に埋め込まれているんですね。帝国劇場と同居した、谷口吉郎意匠設計の国際ビルヂングの建物だけあって、昭和の時代の豪華な意匠が至る所に見られます。ただこの建物も残念ながら、2025年には休館して建て替えられるようです。
帝国劇場は三代目に変わるのでしょうが、村野藤吾設計の日生劇場はいつまでも、帝国ホテルのお隣で輝いていてもらいたいですね。
さて琳派のやきもの展となれば、当然の事ながら、尾形乾山のやきものが展示の大部分を占める事になります。当時としては、その独創的な形状、絵画的、文学的な意匠は革命的なインパクトを与えた事でしょう。この展覧会では同時代の野々村仁清の京焼、琳派の絵画や蒔絵の展示もあり、楽しめました。
目の保養の後は、丸の内仲通りの一保堂茶舗でティータイムです。
せっかく優雅なティータイムを過ごそうと思って入店したのに、隣のテーブルの男性の甲高い大声の会話が延々と続いて辟易しました。また奥の女性客の会話もうるさくて、店のスタッフは注意してもらいたいものです。
次回は入店して、お客さんの様子を見て、利用するかどうか判断したいと思います。
一保堂はほうじ茶は美味しくて、家でも愛飲していますが、緑茶はちょっと苦くて、苦さよりも、まろやかな味の「うおがし銘茶」の方が好きで、家ではこちらを愛飲しています。
中丸三千繪 オペラ名曲コンサート ― 2023/06/14
すみだ北斎美術館 ― 2023/05/30
高校、大学時代の友人と、すみだ北斎美術館に行ってきました。待ち合わせは第一ホテル両国のロビーです。二階の東天紅で中華のランチを頂いた後、すみだ北斎美術館へ。
妹島和世氏の独特のデザインの建物は話題になりました。
美術館に着いて、ちょっと驚いたのは、入場者の半数以上は欧米の観光客だった事です。さすが北斎、世界的に人気があります。
展示室はそれほど広くないですが、展示の仕方がユニークです。作品の説明、背景説明など、至る所に高精細のタッチパネル・ディスプレイ(各国語対応)が設置してあって、非常に分かりやすく、便利でした。
展示替えの時の作業は大変でしょうが、他の美術館でも導入してもらいたいです。
目の保養の後は、歩いて回向院へ。明暦の大火の犠牲者を供養するために建てられた寺院ですが、力士の供養塔、猫の供養塔、鼠小僧のお墓もあるユニークな所でした。
家に帰って、ブラタモリの昔の録画を見返してみると、膃肭臍(オットセイ)の供養塔もありました。昔、境内にはスケートリンク、サーカスの建物があり、アミューズメントパークのようだったようです。
膃肭臍の供養塔、残念ながら見逃してしまいました。
回向院を散策した後、チェーン店のカフェでひと休みして帰宅しました。
映画TAR ター ― 2023/05/23
ベルリンフィル初の女性マエストロなんていう宣伝文句でしたが、映画ではどう見ても、ドレスデンのホールで、本拠地のコンサートホールがベルリン・フィルハーモニーではない。ロケは拒否されたのでしょうか?肝心の演奏シーンも少なめでした。
最初に長々とエンドクレジットを出されて、「映画を見るぞ」という緊張感がなくなりました。しかもエンドクレジットの前に飛行機内のターのシーンがあったのに、本編のシーンと完全に分断されていました。
演出も細かいところが突っ込み所が多く、納得がいきません。
冷蔵庫の音が気になって目覚めるのは良いとしても、メトロノームの音は、誰かが動作させないとおかしいし、起きている時に動作音が聞こえていたはずです。
隣人の老婆が認知症の老人の手助けを求めてきた時、何で老婆がターに命令口調で言うの?
自尊心の高いターなら、救急車を呼びなさいと言って、ターは拒絶すれば良いのに。
お気に入りの若手女性チェロ奏者の忘れ物を届けるのに、まともな住居でもない、不気味な廃屋の奥深くまで行きますか?
ターが正装して、代役指揮者のコンサートに乱入して、暴行するのは、事前にターに代役をたてる事を通告されていたはずだから、どう考えても不自然です。
アジアのシーンもアジア蔑視感が感じられて不快でした。しかも最後にモンスターハンターオーケストラに客演指揮するというのは、ベルリンフィルを追われた指揮者とは言え、受諾する仕事ですかね?
レナード・バーンスタイン、グスターボ・ドゥダメル、ジャクリーヌ・デュ・プレ、ヴィスコンティのベニスに死すなど、クラシックファンなら誰でも知っている人物や映画音楽をストーリー、エピソードに散りばめても、なんか白々しい。
この映画の監督と脚本家は、「どうだ、斬新な演出とストーリーだろ。」と自己満足しているようにも感じられました。
007ユア・アイズ・オンリー、インディアナ・ジョーンズに出演したジュリアン・グローヴァーが、引退したマエストロの役で出演していて、懐かしく感じられましたが、ケイト・ブランシェットの怪演だけが記憶に残る映画という印象です。
六本木ヒルズ ヘザウィック・スタジオ展 ― 2023/04/11
映画 生きる LIVING ― 2023/04/05
黒澤映画の「生きる」を翻案した英国映画「生きる LIVING」を観てきました。元の黒澤映画を観た事はないのですが、この映画は是非観たいと、昨年から思っていて、公開を心待ちにしていました。
元々米国映画より英国映画が好きですが、この映画の普遍的なテーマ(死と向き合った人間が残された時間をいかに生きるか?)、1950年代の英国の時代背景などに興味を引かれていました。またどんな役柄も器用にこなす、好きな俳優ビル・ナイがどのような演技を見せてくれるのか?も注目していました。
黒澤映画「生きる」の方は観ていないですが、多分、制作当時(1952年)の時代背景、黒澤監督の演出手法から考えて、もっと激しい感情の表出が現れた映画のように思っています。
脚本のカズオイシグロ氏が、「生きる」の主演が笠智衆さんだったら、違うトーンの映画になっていたのではないか? と言っていたように、笠智衆さんトーンのビル・ナイの抑制された、細やかな演技は深く心に残りました。久しぶりに素晴らしい映画に出会えました。
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